お米の美味しさとは
   お米の美味しさの測り方として、2通りの方法があります。ひとつは「官能検査による食味試験」で、人が実際に炊飯したお米「ごはん」を食べて評価を行う方法です。この方法では、外観、香り、味、粘り、硬さ、総合の6項目で採点します。勿論、精米や加水量、浸漬時間などはすべて同じ条件の下での食べ比べとします。もうひとつは「理化学的な分析」による評価です。これは、お米を「玄米」又は「精米」のまま測定機器にかけ、お米の成分である水分、タンパク質、アミロース、脂肪酸等を測定する方法です。機器によっては、さらにメーカー独自の計算式により食味の総合値を数値化して表示するものもあります。
   お米の主要な成分は玄米で(1)でん粉(うるち米はアミロースとアミロペクチン、もち米はアミロペクチンのみ)、(2)タンパク質、(3)脂質、(4)無機成分、(5)水分からできています。でん粉のうち、アミロースの値が低いほど(アミロペクチンの値が高いほど)粘りが強いお米とされています。また、同様にタンパク質についても値が低いほど粘りが強いとされています。一般的に日本人はそういった粘りが強いお米を好む傾向にあるようです。理化学的な分析でいうアミロースの値は良食味米といわれるお米で16〜17%くらい、タンパク質の値は同じく6.5〜7%くらいです。アミロースは品種や土壌、気温などに左右されます。タンパク質は窒素成分を多く吸収すると増加する性質があり、窒素肥料の施肥量によりある程度管理が可能ですが、気温などの影響も受けます。脂質いわゆる脂肪は玄米中に約3%、精米には約1%含まれ、貯蔵の経過と共に脂肪酸とグリセリンに加水分解されるため遊離脂肪酸が増加します。これがいわゆる古米化現象といわれるものです。この度合いを数値化したものが脂肪酸度で、一般的には20以下が適当であるといわれます。水分はおおよそ15%くらいが適正とされ、水分の高いお米ほど美味しいといわれています。
   人によって美味しさの指標は異なります。もし、あなたが粘りの強いお米がお好きならば、タンパク値やアミロース値などをひとつの指標にしてお米を選択するのも良いでしょう。普段から食べ慣れたお米だから…というのも正しいと思います。
   しかし、あなたがご自分の好みに合った美味しいお米を本当にお探しならば、以下のポイントをぜひ参考にしてください。

ポイント1 生産地にこだわる
一般的に美味しいお米の生産地として、排水の良好な内陸の乾田・半湿田で、尚且つある程度昼夜の寒暖差がある場所が適しているといわれています。泥炭地はあまり好ましくはありません。地域の天候によってお米の出来が左右されることはありますが、長期的に考えた場合、良い土壌で作られたお米は間違いなく美味しいものです。

ポイント2 生産者にこだわる
きちんと農地や農作物の管理ができている農家から直接お米を買うこと。いわゆる顔が見える農家が作ったお米を選んでください。もちろん、生産者にこだわるということは生産方法にもこだわるということです。そういう意味で農家からの直販は、相手さえ間違わなければとても良い方法です。

   ご自分の好みに合ったお米を選ぶには、まず、好みの品種を数種類選ぶことから始めます。(財)日本穀物検定協会などが発表している食味ランキングなどを参考にするのもひとつの手ですが、それらのランキングは、流通量が多い数品種と基準米(日本晴)とのサンプルにおける比較でしかありません。当然、同じ品種でも生産地域やその年の天候などによって食味がまったく違います。やはり、自分自身の舌で直接確認する必要があります。

   ある程度好みの品種を特定できたなら、その次に重要なのは、そのお米がどのような土地で誰が作ったかということ。前述しましたが、美味しいお米を選ぶ上で最も重要なポイントは実は生産地と生産者なのです。それさえ間違わなければ、必ずご自分の好みのお米に出会えると思います。

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